最近は、男性女性問わず、脱毛は非常にポピュラーなものになってきました。
しかし、この脱毛については勘違いされている部分も多いようです。
特に、永久脱毛というものについては、言葉の定義自体も非常に抽象的であり、間違った認識を持っている人が多くいます。
正しい知識を持っていないと、施術を受けた後に自分の想像していたものと違ったということになりかねません。
脱毛は決して安いものではありませんので、できれば失敗はしたくありませんよね。
そこで、ここでは永久脱毛を中心に、その実態と効果について詳しく見ていくことにしましょう。
実はエステで永久脱毛はできない
脱毛を行うには、主にエステ(いわゆる脱毛サロン)で行う方法と、クリニックで行う方法があります。
両者の違いと聞いて真っ先に思い浮かぶものといえば、施術する人やスタッフの違いでしょう。
エステにはエステティシャンが常駐し、施術もエステティシャンが行います。
一方、クリニックは医師免許を取得している医師が常駐し、施術も医師が行います。
ただし、実は利用者として知っておくべき大きな違いが、もうひとつあります。
それが、施術内容の違いです。
医師免許を持たないエステティシャンが施術を行うエステでは、施術内容が制限されています。
代表的なものは永久脱毛で、エステでは原則として永久脱毛をすることはできません。
永久脱毛ができないということは、エステで脱毛を受けたとしても、時間が経てばまた生えてきてしまうということです。
脱毛と聞くと、一生毛が生えてこないものというイメージがありますが、エステで行われている脱毛というのは、あくまでも減毛や除毛を目的としており、永久的な脱毛を目的としているわけではないのです。
日本エステティック振興協議会も正式に発表しており、エステにおいて行える施術内容の範囲を、明確に規定しています。
つまり、エステではレーザーなどの照射力を一定以下に制限する必要があるため、男性の太く濃い毛の場合には、満足いく結果が得られないことが多いのです。
ただし、実際には、回数さえ重ねればエステでも永久脱毛に近い効果を得ることは可能です。
人によって毛の濃さには個人差がありますので、はっきりということはできませんが、ある程度濃い人でも長い時間をかければ、エステの脱毛で半永久的に薄くなったという実感はできるといわれています。
以上の理由から、時間的にも金銭的にも、永久脱毛を目指すのであればクリニックを選択する方が賢いといえるでしょう。
エステで永久脱毛できない理由
それでは、なぜエステでは永久脱毛をすることはできないのでしょうか。
それを考えるためには、まず永久脱毛というものについて詳しく知る必要があります。
そもそも、日本においては永久脱毛という言葉に明確な定義がありません。
一度施術をしたら永久に生えてこないのかというとそうでもなく、人によっては数年で生えてきてしまう人もいます。
米国電気脱毛協会では、この永久脱毛について明確に定義がされており、永久脱毛というものは『最終脱毛から1カ月後の毛の再生率が20%以下である脱毛法』であると定められています。
これを見ても分かる通り、永久脱毛は1度脱毛したら一生生えてこないものだとはいえません。
より正確に永久脱毛というものを説明するのであれば、除毛や減毛よりも長い期間その効果を持続させるものであるといえます。
では、脱毛の仕組みはどのようなものなのでしょうか。
永久脱毛の方法はさまざまですが、もっとも一般的に行われているのは、レーザーなどで皮膚の下にある毛の根っこ部分の毛母細胞という部分を刺激して、毛の成長をストップさせる方法です。
毛母細胞には毛乳頭というものがあり、これに強い光を当てて細胞を破壊することで、毛を生えなくさせることができます。
この毛母細胞や毛乳頭の細胞を破壊するという行為は医療行為とされているため、医師免許を持っている医師でしか施術を行えません。つまり、医師のいないエステでは、 施術を行うことができないということです。
医師法第17条では、医師免許などを持たないものによる医療行為を制限していますが、エステサロンなどでの永久脱毛も、この医師法第17条の制限を受けるものです。
過去には、医師免許を持たないものによる永久脱毛行為が行われていた事実がありますが、その施術を受けた患者からの健康被害が多数報告されたことを受け、厚生労働省は平成13年に違法行為である旨の通知を行いました。
高額となる永久脱毛の費用
クリニックで行われる永久脱毛は、一般的に高額になります。
一部分のみの永久脱毛であれば、10万円以内におさまることがほとんどですが、全身の永久脱毛を行った場合には100万円以上になることも珍しくありません。
このため、全身の永久脱毛を利用する人の多くは、分割払いで施術をスタートするのが普通です。
クリニックでの永久脱毛が高額になる理由には、いくつか考えられますが、医師免許を持つ者のみが施術を許された医療行為であるからというのが、もっとも大きな理由でしょう。
クリニック側からしてみれば、専門職の医師や看護師を雇うためにはそれなりの人件費も必要になるため、施術代も必然的に高くなってしまうのです。
また、エステと比べ、短期間で脱毛効果を得られるクリニックでは、導入している機械自体も全く違います。この医療機器の違いというのも、施術代が高額になるひとつの理由です。
本来、多くの医療行為に対しては保険が適用されます。しかし、脱毛に関しては健康を維持していくうえで必要不可欠な治療ではないため、保険の適用が一切ありません。
美容整形なども同様ですが、いわゆる贅沢品と見なされるため、高額になってしまうのも仕方ないといえるでしょう。
このように、クリニックで行われている永久脱毛は非常に高額な治療であるため、実際に契約を行う場合には、事前のカウンセリングを受けてしっかりと説明を聞き、疑問点を解消しておくようにしましょう。
クリニックによってコースやプランはさまざまですが、特定の部位をセットで行うことで割安で永久脱毛を受けることも可能です。
本来の料金が高いため、割引が適用されるかどうかによって、施術代総額は大幅に変わってきます。
気になる部位が複数ある場合には、割引制度の利用も検討してみるといいでしょう。
永久脱毛の痛み
痛みに敏感な人にとって、もっとも気になるのはやはり施術時の痛みについてではないでしょうか。
結論から言ってしまうと、永久脱毛に痛みはあります。
しかし、この痛みについては非常に個人差があり、痛みを感じない人の中には、なんの苦痛もなかったという人もいます。
確かに、人によって痛みに強い人、弱い人がいるのは事実ですが、それよりも痛みに大きく関係しているのは、脱毛部位や施術場所の毛の濃さです。
脱毛部位に関しては、脇や膝下などの皮膚の薄いところで強い痛みを感じる傾向にあります。
男性であれば、陰部に近いデリケートゾーンも痛みを感じやすい場所として挙げられます。
ヒップラインなども、個人差が出る所ではありますが、痛みを感じる人は強く痛みが出るといわれています。
一方、毛の濃さに関しては、毛が太くて密集している場所であればあるほど、痛みを強く感じる傾向にあります。
これは、脱毛の仕組みがレーザーである場合、黒いものに対して反応して照射されるため、それだけ毛が密集しているとレーザーの照射時間や照射力が強まるからです。
痛みを強く感じる部位の脱毛では、涙が出るほど痛かったという人もいます。
レーザーの痛みは、ゴムで皮膚を思いっきりはじかれたときの痛さに似ているというのは、よくいわれていることです。
このような情報を聞くと、痛みが怖くて永久脱毛を躊躇してしまう人もいるかと思いますが、近年の脱毛技術は進歩してきており、痛みは相当軽減されてきています。
以前は、施術後に肌荒れを起こしてしまう人がいるほど、肌へのダメージも大きかったのですが、今ではそれも改善され、アフターケアを受けることで肌へのダメージはほとんど気にならないほどにまで進化しました。
また、どうしても痛みが強くて我慢ができないという人の場合は、麻酔を使用してくれるクリニックもあります。
脱毛で使われる麻酔は手術などで用いられるものとは違い、ジェル型の麻酔か、笑気麻酔と呼ばれるもののどちらかです。
ジェル型の麻酔は透明なジェルを肌に塗布し、数十分放置することで肌の表面が麻痺してくるものです。
一方、笑気麻酔というのは、通称笑気ガスと呼ばれる亜酸化窒素ガスを吸い込むことによって痛みが和らぐ麻酔です。
吸引をやめるとすぐに麻酔の効果が切れるため、体への負担が少ないことで知られています。
永久脱毛と日焼け
永久脱毛を行っている期間は、日焼けは厳禁ですので注意が必要です。
脱毛に使用されるレーザーは黒色のほか、茶色や赤色にも反応する性質がありますので、日焼け後の肌に当ててしまうと、焼けて黒くなっている皮膚に対してレーザーが反応してしまう恐れがあります。
実際に、クリニックでは日焼けが原因で施術を中止せざるを得なくなる人が多数いるといわれています。
これは特に男性に多く、夏の海のレジャーやプールなどはもちろんのこと、冬であってもスノーボードやスキーにおける日の照り返しは焼ける大きな原因になりますので、注意するようにしましょう。
もし日焼けをしてしまった場合には治療を一旦中止し、日焼けの肌が元通りに戻ってから施術を再開することになります。
使用しているレーザーによって多少期間は異なりますが、目で見てはっきりと日焼けをしたということが分かるほど黒くなってしまっている場合には、3カ月ほどの中止期間が必要だといわれています。
ただでさえ時間のかかる永久脱毛ですから、こういった原因で時間を余計にかけないようにしたいところです。
また、日焼けだけでなく、永久脱毛中は肌荒れにも注意が必要です。
顎や頬のひげを脱毛しているときにニキビや吹き出物ができてしまうと、同様に施術を中止しなければなりません。
レーザー専門のクリニックなどでは、このニキビさえもレーザーにより完治させ、数日で施術を再開させるところもありますが、その場合でも金額的負担が大きくなるので、できる限り肌荒れをしないようにスキンケアを徹底するようにすべきでしょう。
まとめ
永久脱毛を行っても、一生毛が生えてこないというわけではありません。
しかし、永久脱毛によってムダ毛のお手入れが楽になるなどの効果は得られます。
一方で、永久脱毛にかかる費用は高額で、施術中は痛みを感じることがあるなどのデメリットもあります。
脱毛中は日焼けができず、肌のお手入れにも普段以上に気を付けなければなりません。
そのようなことを知ったうえで、永久脱毛にチャレンジしましょう。