体毛に悩むのは女性ばかりではありません。
毎日の髭剃りの煩わしさを解消したいと考えている男性は多くいます。
また、男性らしさの象徴でもある体毛に否定的な感情を持つ人も少なくありません。
爽やかで清潔感のあるムダ毛の少ない肌を求める人が、女性にも男性にも増えているからです。
体毛に悩む男性にとって有効的な改善手段が脱毛です。
しかし、脱毛は毛穴を刺激する施術であるため、毛穴に対してさまざまな影響を与える可能性があります。
今回は脱毛の施術を受けることにより毛穴に表れる症状やリスク、脱毛の施術における注意点についてご紹介します。
脱毛後に毛穴が荒れたら
脱毛は一般的には毛穴へ刺激を与えることにより毛の成長を阻止する方法です。
たとえば、脱毛方法としてメジャーとなっている光脱毛では複数の波長を持った光を毛穴にあてることで毛の再生力を衰えさせます。
レーザー脱毛もまた、特殊な1本の波長を毛穴に照射してメラニン色素に反応させることにより毛穴に強い刺激を与える方法です。
ニードル脱毛のように毛穴に針を刺して電流を流す方法やブラジリアンワックスのような毛を毛穴ごと引きはがす方法も毛穴へ刺激を与えることにつながります。
このため、人によっては脱毛後に毛穴が荒れてしまうというケースもあるのです。
例えば、脱毛の後に毛穴が赤くなってしまうことがあります。これは施術を行った際に毛穴が火傷を負ってしまうことが原因です。
特に毛穴の面積が大きい人は光やレーザーの反応する面積が広がるため、赤くなりやすい傾向が見られます。
男性は女性に比べて毛穴が大きい人が多いため、施術後の赤みに悩む人も少なくありません。
人間が誰しも持つ男性ホルモンには皮脂腺を刺激させる働きがあり、男性ホルモンを持つことで皮脂の分泌を活発化させます。
男性の場合、女性に比べて男性ホルモンを多く持っていることが一般的であるため、皮脂が出やすい体質をした人が多い傾向があります。
皮脂の出口となる毛穴は、皮脂が頻繁に出ることで自然と広がってしまうため、男性には大きな毛穴を持つ人が多く見られるのです。
サロンなどで施術をした場合、通常、脱毛後の毛穴の火傷対策として施術部位を冷やして熱を抑えるアフターケアが行われます。
冷却処置を行うことにより、一時的に痛みやかゆみが生じるだけで時間とともに治まってしまうことが一般的です。
サロンでの冷却処置以外にセルフケアをする場合には、保湿を行っておけば特に気にしなくてもよいでしょう。
しかし、肌がデリケートな人の場合には痛みやかゆみが数日間続き、赤みもなかなか消えないといったケースもあります。
ひどくなると毛穴の中央に白みができ、その後水ぶくれとなってしまうこともあるのです。
このような症状に気付いたらクリニックや医療機関に相談した上で、鎮静作用のある軟膏などを塗りケアしておくと安心です。
剃ると毛穴が痛む?
毛穴荒れへのリスクから、抜くのではなく剃る処理方法に興味を持つ人もいることでしょう。
しかし、剃る処理にもリスクはあります。
剃る方法はデリケートな肌に直接、刃をあてる行為であるため傷つきやすくなるのです。
特に刃がピンポイントにあてられる毛穴へのダメージは大きくなります。
髭をカミソリやシェーバーなどで処理をした後に赤いブツブツができてしまったという経験をしたことがある人もいることでしょう。
ニキビにも似た赤いブツブツの正体は毛嚢炎(もうのうえん)です。
毛嚢炎とは毛穴に傷が付くことで炎症をおこしたり、感染を引き起こしたりする症状で、一般的には汗のかきやすい夏に多く見られます。
毛嚢炎には炎症が強く見られるケースと感染による影響を強く受けているケースがあります。
髭剃りを行った後に出る場合では炎症が強い毛嚢炎であることが考えられます。
深剃りやカミソリ負けをしたときに発症しやすい症状です。カミソリなどの刃によって受ける肌への刺激が原因となっています。
また、炎症が起きた状態でさらに剃る処理を行うと生じてしまうのが感染による影響を受けた毛嚢炎です。ムダ毛が濃い部分を処理したり放置したりを繰り返すことで起きる場合もあります。
肌に傷が付いた後にムダ毛が伸びて蒸れやすくなり雑菌が繁殖しやすくなるからです。
普通、肌の上にはブドウ球菌という常在菌が生息しています。
健康な肌である場合は特に害のない菌ですが、傷口ができて菌が体内に侵入すると増殖して感染症を引き起こすのです。
毛嚢炎の具体的な症状としては突起のある赤い湿疹の発症が挙げられます。
軽度である場合には特にかゆみや痛みも感じませんが、重度になると痛みを感じたり熱が生じたりするケースもあるのです。さらに湿疹部の炎症が悪化して化膿してしまうこともあります。
脱毛により毛嚢炎の症状が出た場合でも、軽度の場合には剃る処理を一時的にストップすれば自然と治ることがほとんどです。
しかし広範囲に赤いブツブツの症状が見られたリ、ひどい痛みやかゆみを感じる場合には専門の医療機関で診てもらうと安心でしょう。
患部のケアとしては抗生物質の飲み薬やステロイドの軟膏を処方されるケースが多く見られます。
ただし、症状の様子によってはステロイド剤が炎症や湿疹を悪化させてしまうケースもありますので、医師の指示に従ってケアすることが大切です。
抜くのは毛穴に良くない?
ムダ毛を抜く方法は毛根から毛を処理するため、毛の途中で切る、剃る方法に比べると再び生えてくるまでの時間が長く、処理頻度を少なくできるというメリットがあります。
また、肌に刃を直接あてるというリスクが避けられるため、処理トラブルが少ない方法であると考える人もいることでしょう。
しかし、抜くという行為は毛根から健康的に生えている毛を無理やり引き抜くため、毛穴に大きな負担を与える可能性が高くなります。
毛抜きなどを利用して毛を抜いた場合に出血したことがあるという人もいるのではないでしょうか。
毛が抜けては落ちるサイクルを繰り返す毛周期の中でも特に活発な成長を行う成長期の毛は、必要となる栄養を吸収するために毛の根元先端にある毛乳頭と毛細血管がしっかりと連結されています。
このため、毛を無理やり引き抜くことで毛乳頭と毛細血管のつながりが無理に引きちぎられて血が出てしまうことがあるのです。
毛が抜け空っぽになった毛穴には菌が入りやすくなります。
毛穴は出血するほどの弱った状態となっているため、菌が入ると感染しやすくなり、剃るケアと同様に毛嚢炎などの症状が発症する可能性が高くなるのです。
また、引き抜く際に毛が途中でちぎれてしまうということも少なくありません。
毛を抜くダメージで肌が傷むとかさぶたが発生しますが、ちぎれた毛がかさぶたの中に埋もれて皮膚の表面に出てくることができなくなると埋没毛(まいぼつもう)が生じます。
肌に傷が付いていない場合でも、切れた毛の先端が毛穴ではなく皮膚内に向かって伸びてしまうことにより埋没毛ができてしまうこともあるのです。
埋没毛は皮膚内に毛が埋もれている分、肌の上に立体的な盛り上がりを生じさせます。
このため、清潔感のある肌を目指してムダ毛の処理をしたものの、逆に鳥肌のようなザラザラとした肌となってしまうことがあるのです。
髭のある部位のような度々ケアをする部分が常時、突起のあるような肌状態となってしまうと、ケアをするたびに過剰に肌を傷つけて毛嚢炎ができてしまったり、場合によっては色素沈着を起こしてしまったりすることもあります。
脱毛のリスクとは
脱毛は毛の処理を行う煩わしさを解消し、ムダ毛のない爽やかな肌作りを目指すことが可能となる手段です。しかし、人によってはリスクを生じる場合もあります。
その1つが肌荒れです。発症には個人差があるものの、毛穴に与える刺激によりさまざまなリスクを受けることは避けられません。
また、脱毛により毛質が変わってしまうというリスクもあります。
光脱毛やレーザー脱毛を繰り返し行うことで毛が硬くなる硬毛化や毛の量が増える多毛化が生じるリスクもあるのです。
特にうぶ毛が太く硬い毛に変化するという症状は多く見られます。また毛が生えていなかった場所にあらたに毛が生えてしまったという場合もあるのです。
毛をなくしたり、減らしたりする目的で行う施術であるにもかかわらず、逆に毛が増えてしまったり濃くなってしまったりするのでは非効率なケアとなります。
硬毛化や多毛化の原因は科学的に明らかにされてはいません。
しかし、光脱毛やレーザー脱毛で毛穴にあてた光やレーザーが毛を処理するのに至らない弱い熱量だった場合、毛乳頭を破壊せずに逆に毛の発育を活性化させてしまうのではと考えられています。
硬毛化や多毛化になりやすい施術方法やなりやすい体質は個々によって異なるため、実際に施術を受けて症状が出てから対応することが一般的です。
そして、もう1つのリスクが、毛が生えなくなるというリスクです。当然ながら脱毛は毛を生えにくくしてほしいという希望を持った人が受ける施術です。
しかし、特に男性の場合には毛を伸ばすか無くすかには流行が生まれる可能性があります。年齢に応じて自分の好みが変わることもあるでしょう。
例えば、今は煩わしく感じている髭ですが、何年後かには伸ばしたいと考えが変わる可能性もあります。
ツルツルにしたいという胸毛を男性らしい自然な毛のある胸にしたいと気持ちが変わるかもしれません。
しかし、脱毛の処理を一度行ってしまうことにより、いざ毛を伸ばしたいと思っても伸ばすことができないケースもあるのです。
脱毛処理をする部位によっては必要の有無について、特に長い目で検討しておくことが大切なポイントとなります。
注意すべきことは?
脱毛を行うことにより負うリスクにはさまざまなことがあります。少しでもリスクを避けるためには施術前後に十分な対策をとっておくことが必要です。
最も大切な注意点は、施術の前も後も肌を不潔な状態にしないようにすることです。
毛穴のトラブルが起こる原因の多くが脱毛をすることにより繁殖する雑菌の侵入となっています。
常在菌の侵入は避けられませんが、それ以外の菌の侵入はできる限り防いでおくことがトラブルを引き起こしにくくする対策の1つです。
また、脱毛の施術を受けた後の肌はとてもデリケートです。このため、できる限り肌への刺激を避ける注意が必要となります。
外出する際には紫外線を防止する日焼け止め剤の利用や肌を保護する服装の着用などを行うことが大切です。
脱毛方法の選択にも注意が必要です。自己脱毛からプロによる脱毛か、さらには光脱毛やレーザー脱毛、ニードル脱毛、ワックス脱毛などさまざまな種類の中から自分の肌質に合った処理方法を選ぶことが大切となります。
特に、デリケートな肌を持つ人は慎重に選ぶことが必要でしょう。菌の侵入口となる傷をつけることが肌トラブルを引き起こす大きな原因となります。
このため、毛穴などを傷つけない丁寧な処理や脱毛後の肌状態に合わせた的確なアフターケアの知識が必要です。
知識を持ったうえで施術方法を選ぶことがリスク回避の大切な対策となります。
プロによる脱毛の施術を受ける場合には、自分が希望する脱毛方法を得意とするサロンや医療機関を選ぶのもリスクを防ぐコツです。
施術を受ける前に情報を調べた上で実際にサロンなどへ行ったら、具体的な処理方法や自分の肌質との相性などについて詳しく相談しておくと良いでしょう。
美意識の高い男性にとって、また日々の毛のお手入れに悩む男性にとっては魅力的な施術方法である脱毛ですが、リスクもあります。
特にトラブルが生じやすい毛穴について、具体的な症状を事前に知り、施術後に発症した場合には迅速な対応とケアを行うようにしましょう。